ECコンサル アラタナはeコマースを中心とした「新たな○○を創造する」会社です!

ふるさと納税ポータルサイトで殿堂入りの人気を誇る「都城市」。現状と課題とは?

住民税の一部を好きな自治体に納めることができる、ふるさと納税。特に今年4月から、控除額が約2倍、年間5自治体までは確定申告不要といった“ワンストップ特例”という新制度のスタートとともに、寄附者も倍増傾向にあります。

そのなかで都城市は、ポータルサイトの「ふるさとチョイス」内で殿堂入りを果たすほどの人気を誇っています。今回は、都城市役所で政策企画の野見山修一様に、ふるさと納税の現状や今後の取り組みなど貴重なお話を伺いました。

都城の思う「ふるさと納税」とは?

新規画像_13
まず、都城市は、昨年の4月から都城市のことを対外的にPRすることに力を入れています。ほぼ同じ時期の昨年頃から、ふるさと納税が全国的に非常に注目を集めていました。そこで、ふるさと納税についてPR戦略のひとつのツールとして使えないか?と今までのふるさと納税に対する発想を180度ガラッと変えました。そして、昨年の10月から、市をPRすることを目的としたふるさと納税推進事業スタートしたところです。

全国的に見ても、都城市を対外的にPRすることをより重点的にしたことで、注目度が集まったのではないかと思います。

「都城市といえば〇〇」というイメージ戦略を入り口に

では、何をPRするのか?というと、都城市には日本一のものがいくつかあります。いろいろ考えたのですが、ふるさと納税の寄附のお礼として都城市が一番自信を持ってお届けできるもの、そして一番身近に感じられるものは「食」だろうと考えました。

多少古いデータにはなりますが、食の部分で日本一といえばお肉です。牛肉と豚肉、鶏肉の生産量が日本一ということと、焼酎ですね。霧島酒造さんが2年連続売り上げ日本一。都城市といえば、肉と焼酎。肉と焼酎といえば、都城市というような感じで全国の皆さんに覚えてもらえるようになればいいですよね。水戸と言えば納豆みたいな感じです。

最終的にお店でお肉を見たときに都城産とあったら、コレはいい!と手に取っていただけるような結果につなげる、そのための入口になるような形で考えていったので、ふるさと納税の特産品もお肉と焼酎に敢えて特化しています。

基本の考えは寄附者のニーズに応えること

現状では、たとえば1万円の寄附に対してどれくらいのものがもらえるの?というふうに寄附者の方々は常に意識して見ています。基本的に、「寄附」なのでそういう考え方は良くないのですがこのニーズが重要ですよね。寄附者のニーズについてリサーチして、より良いものをより多く、特に肉と焼酎に関してはどこにも譲らないくらいの強い気持ちで準備させていただいています。

まずは「ふるさとチョイス」という集客できる、PV(ページビュー:閲覧回数)を稼げるようなサイトに掲載して、注目を集めていくことを入口として始めました。その中で、ほかの自治体と比べて特徴がないと横並びになってしまう。特徴を出すために目玉商品といわれるものを用意することに配慮しました。

昨年の10月からスタートして、今年の6月末時点で、おかげさまで約10億円の寄附が集まりました。4月からだと4万8,000件で約6億円になり、予想外の反響をいただいています。

今のふるさと納税は、お礼の特産品合戦や価格競争ともいわれていますが、そればかりでもないのかなと思っています。いかに寄附者のニーズに応えるか、という基本がなくなると、自治体自体が見放されてしまうのではないかと。今後も参加する自治体が増えていくと思うので、足元はしっかり固めておくべきだと思います。

ふるさと納税制度は、一年や二年で終わるような事業制度ではないと思っています。今後も国の動きは注視する必要がありますが、企業もふるさと納税を考えるような広がりを見せるのかな、と拡充していくのではないかと考えています。だからこそ、しっかりと寄附者のニーズに応えるという地盤づくりが大切だと思います。

都城市のターゲット層はサラリーマン家庭

都城市のふるさと納税に寄附をいただいている方のうち95%が都城市に縁もゆかりもない方々です。この数字は、都城市がPRを目的としていたという点で的を得ている結果だと思います。また、寄附者の住所は東京22%、10%神奈川、9%大阪、愛知など、半数以上が都会です。
しかも、都城市から都会へ出ている人たちかというと、そうではないようです。

一方で、一番よくあるのが、霧島(焼酎)が都城市にあることを知りませんでした。という寄附者の方々のコメントです。寄附者や一般の方々にとってまだまだ都城市は知名度が低いのかなと感じました。

私どもの、ターゲットは、都会の中高所得者層です。バリバリ働き、それなりの住民税を納めているようなサラリーマン家庭。そういう方々をターゲットとして、ニーズ調査していくのが一番良いのかな、と思っています。

たとえば、小さなお子さんのいる家庭だったら、同じ肉でも質が良いものがいいのか、量が多いほうが良いのか。蓄積データが少ないのである程度推測にはなりますが、今後そういったデータ分析も必要だと思っています。

今後の課題は民間企業との連携

新規画像_14
都城市としてはやはり、ふるさと納税をPR戦略の入り口と考えているので、そこに関してはいろいろな出口があると思います。たとえば今後、特設サイトを設けたとして、そこでECサイトとの連携やそれぞれの企業とも連携していくことが大切だと思います。連携をうまく図ることで移住や地方創生の一環につなげていくこともできます。自治体としては今後そういった出口を広げていくために、民間企業との連携は必要不可欠でもあり、今後の課題です。

インタビュー後記

ふるさと納税にワンストップ特例制度が導入されますまず激化する自治体の様子はまさにEC業界の縮図と似ています。利用者からすれば、「寄附」と「買い物」という形は違いますが、基盤となる戦略をもとに、ブランディングから支持を得るためのニーズ・客層データ分析など、地盤をしっかりと固めることで、本質という柱と信用を積み重ねていくことが大切だということを改めて認識させていただきました。

●都城市役所
HP:http://www.city.miyakonojo.miyazaki.jp/

(インタビュアー:揚松晴也、文:岡野綾美/ライター)

この記事を書いた人

EC業界の今

イベント・セミナー情報