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【第2回】管理会計のすすめ:意思決定(その2)

【3】2.「埋没費用」とは?

埋没費用とは「すでに発生してしまっている、もしくは発生することが確定してしまっているため、意思決定に影響を与えない費用」のことです。
例として、過去に投資した分の投資額や、これからどの選択肢を選択しても発生する人件費や家賃等といった固定費が挙げられます。
埋没費用は、本来は選択の際に考慮すべきではないが、しばしば意思決定者に心理的な影響を与え、合理的な解釈や判断を惑わせる要因となります。

えば、すでに3億円の投資をしているプロジェクトがあるとします。ここで、プロジェクトを続ければさらに総額3億円の損失が見込まれ、プロジェクトを直ちに中止すれば、追加の損失は総額1億円にとどまるとします。

合理的に考えれば、マイナス3億円とマイナス1億円を比較し、ただちに中止すべきだという判断になるでしょう。

しかし、「すでに3億円もつぎ込んだ」ということが頭にあると、プロジェクトの中止という選択肢は、大きな損失や失敗を認めることになってしまうため、選びにくくなります。

他のケースでは、例えば設備を更新して間もなく、ランニングコストが少なくて済む別の設備が発売されたとしましょう。
このようなとき、「新しくしたばかりだから、もったいない」等の理由ですぐに取り替えること躊躇することは多々あるでしょう。
心情的には分かりますが、経済的合理性は全くありません。なぜならば、設備更新に支払った費用は埋没費用だからです。
その設備を使い続けても、新たに取り替えても既に支払ったお金は戻って来ません。
買い替えをためらう理由として「減価償却が終わってないから」というのも、本質的には同じ事です。

ここで考えるべきことは、新たな支出のための資金の手当がつくかどうかということと、それをランニングコストの節約額でペイできるかどうかということだけです。

このように、こうした埋没原価は合理的な判断を惑わせる要因となるため、意思決定からは除外して考えることが望ましいです。

 

【4】3.「機会費用」とは?

もう一つの管理会計特有の費用は、機会費用です。機会費用の定義は、「他の選択肢から得られたであろう便益」です。「便益が費用」という少しわかりにくい費用です。
たとえば、1億円をAプロジェクトに投資するケースで考えてみましょう。Aプロジェクトに投資するということは、1億円を他の案件に投資する機会を放棄することにもなります。

Aプロジェクト以外に候補に挙がった現実的な投資案件の中で、仮にBプロジェクトに投資したときが最大の利得をもたらすとすれば、Bプロジェクトに投資したときに得られたはずの利得が、ここでの機会費用となります。

機会費用は本来、金銭的に計算できる場合に用いる概念でありますが、金銭で表現できない効用もあります。たとえば、Aプロジェクトが外注プロジェクトであるのに対して、Bプロジェクトは内部の人員を使って(もしくは新規に採用)のプロジェクトだったとしましょう。

このような場合は、Bプロジェクトを通して得られる従業員の仕事上の経験や知識の向上等も機会費用と考えられます。損して得取れ的な・・・。

機会費用は重要な概念であり、意思決定の際に考慮すべき概念でありますが、

1.選択肢について事前に利益や効用を予測するのは非常に難しい

2.機会費用にこだわりすぎると、消極的になったり、後ろ向きなマインドを生み出しやすい

3.機会費用を把握するときに、どれだけの時間スパンで考えればよいか難しい

といったデメリットもあります。投資などの意思決定では、必ず機会費用についても考慮すべきですが、過度に気にすると意思決定の妨げになる点にも注意する必要があります。

【5】今日のポイント

1.あるべき姿を明確にすること。会社のビジョンや企業理念を作成し、従業員に浸透させること。議論はこの軸を中心に、どの方法がより優れているかを議論することが重要。

2.埋没費用は意思決定から除外して考えることが重要。

3.機会費用は意思決定に含めて考えることが重要。

次回以降は、意思決定する際に実際に活用できるツールについてご説明していきます。
それでは今回はこの辺で・・・

参考文献

  • グロービス・マネジメント・インスティチュート【編者】 「MBA定量分析と意思決定」
  • 「税務研究会」発行 「週刊経営財務」中 金子智朗著 「これからの管理会計を語ろう」
  • IGPI流経営分析のリアル・ノウハウ

 

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